私的マーケットプレイス研究所

マーケットプレイスビジネスについて学んだことを書き留める。

マーケットプレイスに関するお役立ち記事・コンテンツまとめ【2018年10月30日更新】

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マーケットプレイスに関するお役立ち記事・コンテンツのリンク集。マーケットプレイスに関してよくあるトピック毎にまとめる。

大まかな流れとしては、以下の通りとなっている。

  1. マーケットプレイスの始め方
  2. 流動性の確保(クリティカルマスへの到達、鶏と卵の問題)
  3. マッチメイキング(取引構造の捉え方)
  4. スパムやリーク(マーケットプレイス外取引)への対策
  5. ネットワーク効果の構築
  6. その他マーケットプレイスに関するトピック

 

マーケットプレイスの始め方

マーケットプレイスに関する立ち上げ方の記事。マーケットプレイスガイドは必読としてフリルを運営しているFablic創業者の堀井氏のブログ「Work Hard!」もおすすめ。また、SaaSからマーケットプレイスへの展開という意味で「SaaS Based Marketplaces」は必読。

記事書きました↓

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流動性の確保(クリティカルマスへの到達・鶏と卵の問題)

マーケットプレイスの運営が最初すべきことは「流動性の確保」であり、そのためにはクリティカルマスへの到達が必要。その際に立ちはだかる課題が「鶏と卵問題」。上記の「All about Network Effects」にもよくまとまっているし、以下の記事・コンテンツも事例含めてまとまっていて参考になる。

記事書きました↓

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アクイジション・バイラリティ

マーケットプレイスに限るわけではないが、集客関連の記事・コンテンツ。バイラリティとネットワーク効果は違うんだよ、ということがよく分かる。

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マッチ・メイキング

マーケットプレイスではいかにエンドユーザー同士をマッチングさせるかがポイント。書籍になってしまうが、プラットフォーム革命は本当におすすめで、事例が豊富で非常に分かりやすい。また、「Four Questions Every Marketplace Startup Should Be Able to Answer」では、「供給内容がCognitive Load(認知負荷)を決め、取引構造を決める」という示唆深い内容の記事だった。

記事書きました↓

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スパム・ハックへの立ち向かい方

マーケットプレイス運営の中で現れるスパムユーザーやハックを仕掛けてくるユーザーたち。大手企業はどのように立ち向かっているのか、むしろ立ち向かっていないのか。

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マーケットプレイス外の直接取引

マーケットプレイスの性質によっては、マーケットプレイスを介さず、直接取引をされてしまうケースがある。例えば、Airbnbであれば、初回はマーケットプレイス上で成約するものの、2回目以降はホストとゲストで直接取引をする。どのようにしてマーケットプレイスは直接取引を回避するべきか。

記事書きました↓

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ネットワーク効果

ネットワークに参加する人が増えれば増えるほど、そのネットワークの利便性が上がるというアレ。抽象的で分かりにくいが、以下の記事・コンテンツは非常によくまとまっていて良い。特に「All about Network Effects」はHowの部分まで踏み込んでいてすごい。

 

マーケットプレイスのメトリクス

マーケットプレイスに限らず、メトリクスをどのように持つか。上記BFORE・馬田氏のスライドが俊逸過ぎて、無料で見れることに驚き。

 

マーケットプレイスの外部経済・外部不経済

マーケットという市場の外部に及ぼす好影響を外部経済、悪影響を外部不経済マーケットプレイスが大きくなることで、どのような影響を外部に及ぼすのか。

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調査をしたマーケットプレイスのプロダクト・サービス

実際に自分で調べてみたマーケットプレイスのプロダクト・サービスたち。扱う商材の単価や性質、業界によって同じマーケットプレイスと言えども千差万別で非常に面白いので、もし良かったらご覧ください。

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マーケットプレイスまとめ

世界のマーケットプレイスまとめ記事。重複しがちだけど、「そういえばあの企業はどうやっているんだろう」という時に、見ると便利。

 

プロダクト・マネジメント

これもマーケットプレイスに限った話ではないが、PMに関して。個人的に一番知見がない部分なので、非常にありがたい。

 

その他

その他に、うまくテーマ分類できなかったものの、非常に役に立った記事・コンテンツも列挙をしておく。

音源マーケットプレイス・AudioStock、ストック商品の手数料率は高めの設定

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音源マーケットプレイス・AudioStockとは

音源(BGM・効果音・バイス・歌)を売買することができるマーケットプレイス。売り手はクリエイターで、買い手は音源使用者。

AudioStockの特徴としては「著作権フリー(ロイヤリティフリー)」であること。「著作権フリー(ロイヤリティフリー)」と聞くと、「勝手に使っても良い」みたいな印象を抱きますが、そうではなく「使用許諾の範囲内で、何度でも、自由に使えることができる」ということ。また、著作権自体はあくまでクリエイター(売り手)に帰属するとのこと。

したがって、クリエイター(売り手)が売っているのは、音源そのものというよりも「使用権」であり、音源使用者(買い手)はその使用権を買っている。

著作権フリーの音源・音楽素材なら10万点から選べるAudiostock(オーディオストック)

 

AudioStockはどういったビジネスか

マネタイズのポイントや公開されている数値からビジネス規模をざっくりと推定をしてみることにする。

 

マネタイズは手数料モデル

マネタイズとしては手数料モデルで、成約した販売額の40%〜60%が報酬となる。つまり、手数料も40%〜60%。例えば、1,000円が成約した販売価格で手数料が40%なら、事務局は600円が手数料としてクリエイター(売り手)からもらう。

※手数料率の幅は販売実績などに応じて可変的であるみたい

 

ユーザー数や音源数から推定されるビジネス規模

公式サイトによると、2018年8月時点で公開されている数値は以下の通り。

  • 音源作品数は10万以上
  • クリエイター(売り手)は7,000人以上
  • 月次で2,000点の音源作品が追加される
  • 取引実績は24,000回以上
  • 手数料率は40%〜60%

音源作品数をブレークダウンして調べてみると以下のような内訳。

  • BGM:59117件(約57%)
  • 効果音:38,094件(約37%)
  • ボイス:5,540件(約5%)
  • 歌:1,115件(約1%)

ビジネス規模を推定するために、取引実績を各カテゴリの音源作品数と掛け合わせ、各カテゴリの取引実績とする。

  • BGM:13,660回(取引実績:24,000×カテゴリ比率:約57%)
  • 効果音:8,802回(取引実績:24,000×カテゴリ比率:約37%)
  • ボイス:1,280回(取引実績:24,000×カテゴリ比率:約5%)
  • 歌:258回(取引実績:24,000×カテゴリ比率:約1%)

そして、各カテゴリの音源作品の最低価格を販売価格であると仮定し、各カテゴリの取引実績に掛け合わせる。

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  • BGM:14,752,784円(取引実績:13,660回×最低価格:1,080円)
  • 効果音:4,753,223円(取引実績:8,802回×最低価格:540円)
  • ボイス:691,260円(取引実績:1,280回×最低価格:540円)
  • 歌:834,752円(取引実績:258回×最低価格:3,240円)

したがって総販売価格は最低で約2,100万円以上ではないかという仮説。手数料率を仮に50%であるとしたら、クリエイター(売り手)の総報酬は1,050万円。クリエイター数は7,000人であるとしたら、1人あたり約1,500人の報酬を得ていることになる。

※あくまで仮説。

 

その名の通り「ストック」がポイント

マーケットプレイス型のビジネスである場合、取り扱われる「商品」がスポットなのかストックなのかで変わってくる。

AudioStockはその名の通り、ストック型商品のマーケットプレイスなので、クリエイター(売り手)としては一度公開さえしてしまえば、工数がかからない。一方でスポット型商品であると、取引の度に工数がかかる。

そうなると、ストック型商品のマーケットプレイスはスポット型商品のマーケットプレイスよりも比較的多めに手数料を事務局側が取ることができるかもしれない。

実際のスポット型商品のマーケットプレイスにおける手数料率は10%〜20%が多い印象。


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今回の学びとしては

  • マーケットプレイスで取り扱う商品にはスポット、ストックがある
  • ストック商品の場合、スポット商品よりも比較的高めに手数料を事務局が取れる
  • AudioStockは音源の使用権を扱っており、ストック商品
  • BGM、効果音の音源作品数が多いということは、需要が多いのではないか

どういった商品をマーケットプレイスで扱うかはしっかりと考えた方が良いと痛感。

ちなみに、AudioStockレコーディングスタジオがあるらしく、オンラインだけでなくオンフラインの繋がりもレコーディングスタジオを通じて形成できそう。

Audiostockのレコーディングスタジオ | Audiostock(オーディオストック)

中古産業機械マーケットプレイスALLSTOCKERの特徴は手厚い事務局サポート

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中古産業機械マーケットプレイスALLSTOCKERとは

公式サイトから引用すると、

中古・新品問わず、建設機械、農業機械、車両から工作機械に至るまで、働く機械全般を簡単に売買することができます。

 

出典:https://allstocker.com/ja

 とのことで、なんと中古産業機械がオンライン完結で売買できてしまうこと。

ALLSTOCKERでは、

  • 売り手:中古産業機械を売りたい人
  • 買い手:中古産業機械を買いたい人

 というプレイヤーで成り立っており、特に買い手に関しては、日本国内だけではなく東南アジアにも展開をしており、グローバル。

 

ALLSTOCKERのビジネスモデル

まず、取引形式に関しては2種類あり、マーケット型とオークション型。今回はマーケット型について調べてみる。

マーケット型の場合、マネタイズとしては手数料で、売り手と買い手それぞれから成約金額の5%、したがって合計10%を受け取っている。なので、100万円の成約金額であれば、10万円が事務局に手数料として入る。

※産業機械なので、運送費がかかるため、それは成約金額は別途で買い手が負担

 

高単価商材マーケットプレイスの特徴:手厚いサポート

実際にマーケットプレイスを覗いてみると、価格はゆうに100万円を超えており、高いものではなんと2,000万円を超えている建機も。このように非常に高単価な商材を扱うマーケットプレイスの特徴は何かという事務局による手厚いサポート。

 

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※左:買い手のステップ 右:売り手のステップ

 

上図の黄色部分だけが買い手・売り手が対応すれば良い部分で、具体的な商談・成約・運送・決済・引渡は事務局が担当するとのことで、相当に人の手が入っている印象。

確かに、このような高単価商材であると、衝動買いなんてほぼほぼ無いだろうし、自分でやろうとすると、素人目にも非常に面倒な気がするので、間に人が入ってもらえるのは心強いし、それをネット完結でできているのは相当すごい。

 

ALLSTOCKERのニーズ検証はヤフオク

このような超大規模なサービスのニーズ検証方法が気になったので調べてみると以下のような記事を見つけた。

 重機のインターネットでの取り引きに商機があると見て、父の企業の一事業部として独立採算での取締役として参加した。「事業部といっても、手元にお金はない状況で、そもそもスタート時点で売買の”買う”ができなかった。困ったところで社内の整備の人に話を聞くなどしたところ、3年前に使ったきりで、今後も使われない建機があることを知った。イチから整備を行い、修理をしてヤフーオークションに載せてみたら、すぐに買いたいという声が殺到し、驚いた」

 

出典:ASCII.jp:平均単価300万円!ALLSTOCKERは建設機械の国際ネット取引所を目指す (1/2)|ASCII STARTUP 今週のイチオシ! 

なんと「ヤフオクで自分で売ってみる」という検証方法を取ったそう。ニーズ検証方法としてはスマートで、なるほどなと思った。

 

売り手はどのように集めてくるのか

そして、個人的な疑問としては「どのように売り手を集めるのか」。勝手なイメージだが、建設業界において「ネット完結で何かを売る」という習慣は無さそうだし、「中古産業機械を売ろう!」という発想が出なさそう。

そういった意味で獲得のマーケティングは、デジタルでは無く、展示会や業界誌の紙面に広告掲載になってきそう。

一方で買い手に関しては東南アジアにも展開しており、アービトラージでニーズが高そうなので、売り手と比較したら容易なのでは無いか。