マーケットプレイスの漏れ(直接取引)はなぜ起こる?反復性と付加価値がポイント
マーケットプレイスにおけるリークとは
リークとは「漏れ」の意味で、マーケットプレイスにおけるリークとは「マーケットプレイス外取引」つまり「直接取引」である。
基本的にマーケットプレイスは成約金額のN%という形で手数料をユーザーからもらうことが多いので、直接取引をされてしまうと、手数料をユーザーからもらうことができなくなってしまう。
したがって、「直接取引」はマーケットプレイスにとっては死活問題となり、2016年と少し古いが、Leakage in a Marketplaceという記事を参考にしつつ対策を考えてみる。
反復性と付加価値がポイント
記事内では、反復性と(マーケットプレイスによる)付加価値が直接取引を考える際のポイントだとしている。
反復性があると直接取引になりやすい
ここで言う「反復性」とは、「同じ取引を断続的に行うこと」である。反復性のあるマーケットプレイスとして挙げられていたのは家事代行マーケットプレイスで名を馳せたHomejoy。
Homejoyは、
- ハウスキーパー(売り手)
- 家を掃除してもらいたい依頼者(買い手)
から成り立つマーケットプレイスで、依頼者の「家を掃除する」というのは1回限りのことではないし、反復性がある。その反復性がある「掃除」という分野で、一度良いハウスキーパーとマッチングをしてしまうと、もはやHomejoyというマーケットプレイスを介す合理的な必然性が無くなる。
これだけでは無いが、Homejoyは直接取引によるまさに「漏れ」を防ぐことができず、倒産をしてしまった。
したがって、売り手と買い手の結びつきが強い取引はこのような事態に陥るのかと思う。なので、メルカリのような「フリマ」分野は「売り手と買い手が結びつく」というよりは、「商品と買い手が結びつく」形だし、反復性(同じ売り手から何度も買い手が購入する)も無いので、直接取引はそこまで大きな課題では無さそう。
付加価値があると直接取引になりにくい
当たり前の話だが、マーケットプレイス自体に付加価値があれば、直接取引にはなりにくい。
例として挙げられていたのは、例えばレストランがあり、そのレストランはWebサイトが無く、マーケットプレイスからしか注文できない場合、マーケットプレイスには価値がある。
その他、取引に必要なコストがマーケットプレイスにより一気に削減される場合もマーケットプレイスの価値がある。以前調査したALL STOCKERはその部類だと思う。
あとは「価値提供」とは逆行するが、「ペナルティ」がある。
例えばAirbnbは直接取引を行なった場合、ホスト(売り手)はアカウントがバンされてしまうとのこと。Airbnbにとって評価は非常に大事だし、せっかく貯めた評価が水泡に帰す恐怖心から直接取引をさせないような設計にしている。
しかし、実体としてはどうなのだろうか。
マーケットプレイスの「漏れ」はまさに死活問題
このマーケットプレイスにおける直接取引の問題は非常に難しい。分野によってはHomejoyのようにまさに死活問題となってきてしまう。
売り手と買い手の素晴らしい取引はマーケットプレイスの運営者としても望ましいことだが、手数料が入らないんじゃ、二進も三進も行かなくなってしまう。
そういった意味で、分野次第ではマーケットプレイスのような「成約手数料」ではなく、人材モデルのように「出会うことそのもの」自体に価値をシフトした方が良いかもしれない。例えば、Homejoyであれば「成約の度に手数料」ではなくて、「良いハウスキーパーとの出会い」を価値としてお金をもらうなど。
この問題は継続的に考えていく。