私的マーケットプレイス研究所

マーケットプレイスビジネスについて学んだことを書き留める。

SaaS×マーケットプレイスのハイブリッドモデルのメリット

f:id:kokkokoou:20180817011420j:plain

SaaS×マーケットプレイスのハイブリッドの魅力

色々調べてみた上で最大の魅力としては、鶏と卵の問題を解決、ないしは回避した上でマーケットプレイスを始めることができること。

いきなりマーケットプレイスを始めたとしても、

と、そもそもマーケットプレイスを回すことすら難しい。

そこで、最初はSaaSによりシングルプレイヤーモード(スタンドアローンモード)で、買い手または売り手に「独立的な価値提供」を行い、どちらかを十分に囲い込む。その上で、もう片方を集めることで、マーケットプレイスが回るという考え方。

また、マーケットプレイスは特性上winner takes allのため、収益が上がるまで時間がかかる。一方SaaSは月額のサブスクリプションモデルである場合、毎月収益を上げることができるため、安定性が高い。

そういった意味で、「マーケットプレイスを立ち上げる」と言った時には、いきなりマーケットプレイスを始めるのではなく、SaaSによるスタンドアローンな価値提供から入った方が良いのではないか。

 

SaaSから始め、マーケットプレイスに転換したプロダクト

実際にSaaSから入り、マーケットプレイスに転換した企業を調査してみた。あまり上手く見つけることができなかった。

 

OpenTable

OpenTableはレストランと食事をしたい人を結びつけるマーケットプレイス。Opentableは最初、レストランに対して電子予約台帳を提供し、その後にマーケットプレイスへ転換したとのこと。

 

zenefits

zenefitsは元々はHRテック領域として給与計算・労務管理などの人材管理サービスを企業に提供していた。その後、導入企業と保険会社を結びつけるマーケットプレイスを展開。(アメリカの場合、健康保険は保険会社から購入を行う仕組みで、その仲介役としてzenefitsがポジションを取った)

 

Facebook

マーケットプレイスではないし、SaaSでは無いが。

最初はハーバード大学限定で始めたことは有名な話で、もっと初期段階では「ハーバード大学の生徒名簿」を作り、ハーバード大学生に対して「どんな誰がいるのだろうか」ということが分かるスタンドアローンな価値提供を行なった。

 

いきなりマーケットプレイスから始めたメルカリ

とは言いつつも、メルカリなどはいきなりマーケットプレイスから始めて、1年間で

  • 月間流通額:10億円
  • アプリDL:350万DL

までいっているので、上手く行っており、理由としては、

  • ニッチな市場で始める
  • 売り手と買い手のオーバーラップ

である気がしている。

 

ニッチに始める

ニッチな市場で始めることで、競合は少なくなるので、勝率が上がる。そして、その結果としてニッチな市場で獲得したユーザーを起点に市場を展開していくという構図だろうか。(「展開」と簡単に行ったが、それもまた非常に難しいんだと思う…)

メルカリ・小泉氏のインタビューによると

基本的な考え方は「誰でも簡単に利用できるサービス」なのですが、初期のマーケティングの考え方はやっぱり20代女性ですね。これはミクシィの時もある程度同じなのですが、やっぱりトレンドを作るのは若い女性ですよね。ネットサービスをやっているとつい男性にいっちゃいますが。

 

出典:「ヤフオクがあるじゃん」をはねのけたメルカリ 後発ならではの戦い方を小泉氏が振り返る - ログミー

とのことで、「ニッチ」とは言えないものの、「20代女性」というデモグラにまで絞って、口コミを狙っていたとのこと。 

 

売り手と買い手のオーバーラップ

売り手と買い手が行き来すること。つまり、1人のユーザーが売り手にもなれるし、買い手にもなれるということ。役割がオーバーラップするので、例えば、買い手を集めることができれば、その買い手の一部が売り手になってくれる。

メルカリの場合は、「フリーマーケット」なので、特別なものではなく「自分が使っていたもの」つまり、中古品を取引している。したがって、仮に買い手で入ったとしても、中古品は身の回りに溢れているので、売り手に転換するハードルも低いと思われる。

 

鶏と卵の問題解決・回避は必ずしも「SaaS×マーケットプレイス」だけではなく「ニッチに始めて独占すること」や「売り手と買い手をオーバーラップさせること」などがあると分かった。

マーケットプレイスの漏れ(直接取引)はなぜ起こる?反復性と付加価値がポイント

f:id:kokkokoou:20180816013713j:plain

マーケットプレイスにおけるリークとは

リークとは「漏れ」の意味で、マーケットプレイスにおけるリークとは「マーケットプレイス外取引」つまり「直接取引」である。

基本的にマーケットプレイスは成約金額のN%という形で手数料をユーザーからもらうことが多いので、直接取引をされてしまうと、手数料をユーザーからもらうことができなくなってしまう。

したがって、「直接取引」はマーケットプレイスにとっては死活問題となり、2016年と少し古いが、Leakage in a Marketplaceという記事を参考にしつつ対策を考えてみる。

 

反復性と付加価値がポイント

記事内では、反復性と(マーケットプレイスによる)付加価値が直接取引を考える際のポイントだとしている。

 

反復性があると直接取引になりやすい

ここで言う「反復性」とは、「同じ取引を断続的に行うこと」である。反復性のあるマーケットプレイスとして挙げられていたのは家事代行マーケットプレイスで名を馳せたHomejoy。

Homejoyは、

から成り立つマーケットプレイスで、依頼者の「家を掃除する」というのは1回限りのことではないし、反復性がある。その反復性がある「掃除」という分野で、一度良いハウスキーパーとマッチングをしてしまうと、もはやHomejoyというマーケットプレイスを介す合理的な必然性が無くなる。

これだけでは無いが、Homejoyは直接取引によるまさに「漏れ」を防ぐことができず、倒産をしてしまった。

したがって、売り手と買い手の結びつきが強い取引はこのような事態に陥るのかと思う。なので、メルカリのような「フリマ」分野は「売り手と買い手が結びつく」というよりは、「商品と買い手が結びつく」形だし、反復性(同じ売り手から何度も買い手が購入する)も無いので、直接取引はそこまで大きな課題では無さそう。

 

付加価値があると直接取引になりにくい

 当たり前の話だが、マーケットプレイス自体に付加価値があれば、直接取引にはなりにくい。

例として挙げられていたのは、例えばレストランがあり、そのレストランはWebサイトが無く、マーケットプレイスからしか注文できない場合、マーケットプレイスには価値がある。

その他、取引に必要なコストがマーケットプレイスにより一気に削減される場合もマーケットプレイスの価値がある。以前調査したALL STOCKERはその部類だと思う。

market-place.hatenadiary.jp

あとは「価値提供」とは逆行するが、「ペナルティ」がある。

例えばAirbnbは直接取引を行なった場合、ホスト(売り手)はアカウントがバンされてしまうとのこと。Airbnbにとって評価は非常に大事だし、せっかく貯めた評価が水泡に帰す恐怖心から直接取引をさせないような設計にしている。

しかし、実体としてはどうなのだろうか。 

 

マーケットプレイスの「漏れ」はまさに死活問題

このマーケットプレイスにおける直接取引の問題は非常に難しい。分野によってはHomejoyのようにまさに死活問題となってきてしまう。

売り手と買い手の素晴らしい取引はマーケットプレイスの運営者としても望ましいことだが、手数料が入らないんじゃ、二進も三進も行かなくなってしまう。

そういった意味で、分野次第ではマーケットプレイスのような「成約手数料」ではなく、人材モデルのように「出会うことそのもの」自体に価値をシフトした方が良いかもしれない。例えば、Homejoyであれば「成約の度に手数料」ではなくて、「良いハウスキーパーとの出会い」を価値としてお金をもらうなど。

この問題は継続的に考えていく。

ハンドメイドマーケットプレイス・Creema、競合との数値・SEOを比較

f:id:kokkokoou:20180815021048j:plain

ハンドメイドマーケットプレイス・Creemaとは

CreemaとはハンドメイドのC2Cマーケットプレイスで、売り手はクリエイター・買い手はハンドメイドの作品が欲しい人、で成り立っている。

競合としては以下2つのプロダクトがメインか。

個人的にはminnneとCreemaの両方を使ってみて、Creemaの方がなんとなく肌にあったので、今回はCreemaについて掘り下げ。

 

Creemaとminnneの各種数値

色々とネット上に落ちている情報の中で信頼性が高いものを寄せ集めてみた。

 

Creemaの各種数値

  • 出店クリエイター数:13万人〜
  • 出品作品数:600万作品〜
  • アプリDL数:700万〜
  • 出品手数料(売り手):0円
  • 成約手数料(売り手):作品成約金額の8%〜12%

※2018年8月14日時点の調査

※参考1:日本最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」がCtoCのWebサービス・アプリ 顧客満足度No.1の評価をいただきました|株式会社クリーマのプレスリリース(出店クリエイター数・出品作品数・)

※参考2:Creema | ハンドメイド・手作り・クラフト作品の通販、販売サイト(アプリDL数)

※参考3:出品登録について | Creema | ハンドメイド・手作り・クラフト作品の通販、販売サイト(出品手数料・成約手数料・MAU)

 

minneの各種数値

  • 出店クリエイター数:44万人〜
  • 出品作品数:819万作品〜
  • アプリDL数:954万〜
  • 出品手数料(売り手):0円
  • 成約手数料(売り手):作品成約金額の10%
  • 流通額(2018年12月期第2四半期):29.9億円
  • 注文単価(2018年12月期第2四半期):2,990円

※2018年8月14日時点の調査

※参考4:GMOペパボ株式会社 2018年12月期第2四半期決算説明会資料

 

Creemaとminnneの数値を解釈してみる

まず、minnneの月次流通額は成長率や季節要因を無視して平均すると約10億円(29.9億円÷3ヶ月)で、月次注文数は約33万件(29.9億円÷2,990円÷3ヶ月)であることが分かる。

そして、出品作品数で月次注文数で割ると、約4%(33万件÷819万作品)の作品が売れていることになる。(恐らく、「出品作品数」は過去からの累積値なので、販売中に絞ると、割合としては高くなるはず)

そこで、仮にこの4%という「販売率」が正しいとしたら、Creemaの月次注文数は約24万件(600万作品×4%)となり、minneと同じ注文単価を掛け合わせると、月次流通額7.18億円(24万件×2,990円)となる。

しかし、Creemaの方がminneよりもコアなユーザーが多いような気はしており、そういった意味で、販売率や注文単価はCreemaの方が高いのではないか。「コアなユーザーの多さ」という話でいくと、クリエイターあたりの出品作品数で、「Creema:minne=46作品:19作品」と倍以上異なってくる。

したがって、自分で試算したものの、利用するユーザーの大分温度感が違っているので、販売率や注文単価は両プロダクト間でかなり違いそう。

 

【買い手】自分が欲しい作品をいかに発見するか

Creemaは、全部が販売中ではないにせよ、600万以上の出品作品数があるとのことで、大量の作品の中から買い手が自分が欲しい作品を見つけてくるのが一苦労だと思う。ので、「自分が欲しい作品の発見性の担保」はかなり肝になりそう。

Creemaの作品の閲覧までの導線としては(アプリで見てみると)

  • 基本スワイプのカテゴリ
  • カテゴリ毎に「作品ランキング」「特集」「作品一覧」で並べている
  • それでも上手く見つけられない人は「カテゴリーから探す」「特集から探す」「ランキングから探す」「読み物から探す」「条件を絞り込んで検索」

みたいな感じで、検索をさせるというよりは、カテゴリベースで一覧画面の作品をどんどん見せていく感じ。確かに、ログインする買い手としても「これが欲しい!」というよりは「何か良いもの無いかな」という気持ちが強そう。そうなると「自分が目当ての作品がすぐ見つかる」というよりは「作品との偶然の出会い」みたいな方が大事。

なので、自分で「発見性の担保が大事」と書いたものの、実はそうではなくて「いかに作品との偶然の出会いを演出できるか」が大事なのかもと思った。

 

【売り手】自分の作品は売れるのか

マーケットプレイスなので、ネットワーク効果は期待でき、Creemaのケースだと

  • クリエイターが集まれば買い手が集まる
  • 買い手が集まればクリエイターが集まる

といった具合で、場の利便性が向上しそう。また、調べてないが、合理的に考えればminneとのmulti tenanting(重複利用)はある程度多い気はしている。

「自分の作品は売れるのか」という話だと、もちろん「作品そのものの魅力」というクリエイターが自責する部分もありつつ、事務局としてはいかに「作品が一覧画面に出現するチャンスを担保するか」が大事だと思う。

そういった文脈だと、トレンド感さえ合っていれば、事務局としては「特集」という形で作品を取り上げることができやすい。が、そもそも「トレンド感似合っている」ということが前提なので、やはり広義の意味でクリエイターのマーケティング能力≒人が欲しがるものを見極める能力は大事そう。

そう考えると、事務局としてはクリエイターにマーケティング能力を身につけて欲しいし、「こうすれば売れるよ!」というアドバイスもしてあげたくなる。こういった背景からCreemaに限らず、minneもリアルイベントに結構取り組んでいるのかも。

また、Creema代表・丸林氏もインタビューで

C2Cでは買い手とクリエイターのコミュニケーションも重要

 

出典:経済圏の拡大に向けてハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」が総額11億円を調達 | TechCrunch Japan

ということを言っているので、人情溢れる、良い意味で人間臭いウェットさがC2Cの場合であると必要なんだろうなと感じた次第。

 

Creema VS minnne and iichiのSEO

このハンドメイド領域はニーズ的には顕在化しているので、検索クエリとしても存在をしていそう。

そこで、簡易ではあるが「カテゴリ名×ハンドメイド」と「カテゴリ名×手作り」を検索クエリとし、ファインダビリティスコアで比較をしてみた。

※「ハンドメイド」「手作り」が重要掛け合わせクエリではないかと推定

※全カテゴリやるのはしんどいので、「アクセサリー」関連の22カテゴリのみ

※なので、22カテゴリ×2掛け合わせクエリの44クエリで調査

 

ファインダビリティスコアの結果

結果としては1位:Creema、2位:minne、3位:iichiだった。

※44クエリ×30=1,320なので、1,320が今回のファインダビリティスコアの満点

f:id:kokkokoou:20180815030734p:plain

Creemaの「アクセサリー」関連の22カテゴリを参照しているので、Creemaの有利になってしまった気はするが、以下のようなクエリは調査時点で1位だった。

ブローチ 手作り
イヤーカフ 手作り
腕時計 手作り
手鏡 手作り
ジュエリー 手作り
ペンダント 手作り
バングル 手作り
コサージュ ハンドメイド
ブローチ ハンドメイド
腕時計 ハンドメイド
手鏡 ハンドメイド
ジュエリー ハンドメイド
バングル ハンドメイド

一方、個人的な感想としては、minneが圧勝していると思っていた。理由は以下の通り。 

 

CreemaのSEO改善点

恐らくまだCreemaのWebはMFIに移行していないのでは無いかと思われる。パッとPCとSPをみる限りでも

の差分は大きいと感じた。その他に気になったこととしては、

  •  カテゴリページの内部リンクが全てパラメータ付きの動的URLになっている
  • ページネーションでcanonicalが自己参照になっていない(というかcanonicalが無い)
  • 作品ページの「評価」がデフォルト非表示になっているのでもったいない

など、内部施策でまだ余地が残っており、伸び代がありそう。メルカリWebを参考にすると良いんじゃ無いかとも思った。

 

以上、マーケットプレイスから最後は話が逸れたものの、Creemaの調査。純粋にCreemaは見ていて楽しいし、好きなサービス。サービス当初の立ち上げエピソード(鶏と卵問題はどうしたか、等)は知りたいところ。またC2Cだと人数規模が大きくなってくるので、面白いなと感じた。

最後に、調査で使った44クエリの一覧を掲載、誰かに参考になれば幸いです。

 

=====

アクセサリー 手作り
ピアス 手作り
イヤリング 手作り
ネックレス 手作り
ブレスレット 手作り
指輪 手作り
ヘアアクセサリー 手作り
コサージュ 手作り
ブローチ 手作り
イヤーカフ 手作り
アンクレット 手作り
腕時計 手作り
ネックストラップ 手作り
ペンダントトップ 手作り
手鏡 手作り
ネイルチップ 手作り
ジュエリー 手作り
ノンホールピアス 手作り
ペンダント 手作り
バングル 手作り
リング 手作り
イヤーフック 手作り
アクセサリー ハンドメイド
ピアス ハンドメイド
イヤリング ハンドメイド
ネックレス ハンドメイド
ブレスレット ハンドメイド
指輪 ハンドメイド
ヘアアクセサリー ハンドメイド
コサージュ ハンドメイド
ブローチ ハンドメイド
イヤーカフ ハンドメイド
アンクレット ハンドメイド
腕時計 ハンドメイド
ネックストラップ ハンドメイド
ペンダントトップ ハンドメイド
手鏡 ハンドメイド
ネイルチップ ハンドメイド
ジュエリー ハンドメイド
ノンホールピアス ハンドメイド
ペンダント ハンドメイド
バングル ハンドメイド
リング ハンドメイド
イヤーフック ハンドメイド

=====