私的マーケットプレイス研究所

マーケットプレイスビジネスについて学んだことを書き留める。

UberEATSの仕組み、配達員はアプリで配達可否をオプトイン/アウト

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フードデリバリー・Uber eats

ライドシェアのマーケットプレイスを展開しているUberのフードデリバリーサービス・Uber ears。日本上陸から2年が経過し、順調に事業としても伸張していることが伺える。

Uber eatsはシェアエコ型のマーケットプレイスで、大まかに以下のユーザーから成り立っている。

  • 需要者:フードデリバリーの注文者
  • 供給者:レストランと配達パートナー

今まで自分の場合、あくまで需要者の側面しかUBER eatsを見ていなかったが、「よくもまぁ注文するタイミングにちょうどよく配達する人がいるもんだな」と思ったので、供給者側の仕組みを疑問に思った順に調べてみたいと思う。

 

なぜ注文時にちょうどよく配達員がいるのか

「配達員が多くいるから」と言ってしまえばそれまでだが、1年前時点では配達員は5,000人程度いたそうなので、今ではエリアも拡大し、もっと多くいるのではないか。

1000人程度だった配達員の数は、現在は5000人を超えている。

出典:上陸から1年 社長が語る「UberEATS」好調の舞台裏 - ITmedia ビジネスオンライン 

 注文から配達の流れとしては、以下の通り。

  1. 注文者が注文する
  2. レストランに注文が入る
  3. レストランが良いタイミングで配達員を呼ぶ
  4. 配達員へと配達依頼の通知が届く
  5. 配達依頼を受諾したらレストランへと取りに行く
  6. 配達員はレストランで注文を受け取り、注文者の元へと運ぶ

仕組みとしてポイントに感じたのは「4. 配達員へと配達依頼の通知が届く」の工程でさらに調べてみると、以下のような仕組みだった。

  • 配達員は専用アプリログインする
  • ログインすると「オンライン」「オフライン」を設定できる
  • 「オンライン」にすると配達依頼を受け取ることができる
  • 「オフライン」にすると配達依頼は来ない

したがって、「自分で配達をするかしないかをコントロールすることができる」仕組みになっている。

また、「3. レストランが良いタイミングで配達員を呼ぶ」に関しては、オンラインになっている配達員の中からUber eatsのアルゴリズムにより最適な配達員へと配達依頼の通知が届くような仕組みになっているらしい。そのアルゴリズムのパラメータは不明だが、基本的には以下ではないか。

  • 配達依頼をしたレストランと配達員の距離
  • 配達員の過去実績

まさにUberで培ったGPSを活用したマッチメイキングの技術の技術の粋が投入されているように感じた。

 

配達員はどのくらいもらえるのか

丁寧に支払い金額に関してUber eatsのホームページに乗っていた。

明細に関して確認をすると以下の通り。

 

(1) 基本料金 

基本料金は以下の3つに分化される。

  • 受け取り料金:300円
  • 受け渡し料金:170円
  • 距離料金:150円(1kmあたり)

なので、1回の配達を行うと以下の通り。(距離は1kmとする)

  • 620円=300円(受け取り料金)+170円(受け渡し料金)+150円(距離料金)

 

(2) ブースト

公式ホームページでは以下のような説明。

配送料に掛け算される倍率で、曜日や時間や地域によって異なる倍率が設定されます。

出典:お支払いの仕組み (Uber パートナー向け) | Uber

つまり、需給バランスによって基本料金を割り増しますよということ。基本的には需要過多のケースを想定しているのではないかと思われ、需要の高い時間・地域にブーストで傾斜をかけることで、供給力を調達している。Uberでいうところのピーク料金と同じ発想で、非常に上手い。

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出典:東京の配達パートナー向けの情報 | Uber

 

(3) 特別キャンペーン[不定期]

その時々で色々と特別キャンペーンがあるらしい。特別キャンペーンではないがUber eatsではインセンティブも充実しており、以下に詳細が記述されている。

インセンティブの利用規約 | Uber

 

(4) サービス手数料 35%

サービス手数料=基本料金×35% ということみたい。なので、1回の配達(距離1km)で、ブーストの倍率1.5倍である場合は、配達員の稼ぎは以下の通りとなる。

  • 基本料金:620円=300円(受け取り料金)+170円(受け渡し料金)+150円(距離料金)
  • ブースト料金:310円=620円(基本料金)×0.5(ブースト倍率)
  • サービス手数料:217円=620円(基本料金)×0.35(サービス手数料率)
  • 配達員の稼ぎ:713円=930円(基本料金+ブースト料金)ー217円(サービス手数料)

1回の配達がどのくらいの時間がかかるかは分からないが、恐らく1時間もかからないはずなので、時給換算したら1,000円は超えてきそうで意外と効率良く稼げそうだと感じた。

 

どのように配達員を集めたのか

流動的ではあるが、最低保証時給が存在するらしい。しかし、「配達をしなくても、オンラインで配達依頼を待機していれば時給が保証される」というわけではなく、何かしらの条件があり、その条件を満たす限りにおいて時給保証がされる。

この最低保証時給に関しては、サービス立ち上げや新エリア展開時に発動されるケースが多いらしく、慢性的な需要過多である場合にしか配達員は期待できない。

その他にも、配達員紹介などのインセンティブプログラムがあり、こちらも多くの場合は慢性的な需要過多の際に、発動されるケースが多いのではないか。

したがって、配達員の集め方はUberにおけるドライバーの集め方と同じような手法を用いていると言える。 

 

Uber eatsの1回あたりの配達員からの粗利は200円〜300円くらいと推定。モデル的にはGMVを伸ばしていくことがポイントで、今後も新エリアへの展開を進めて行くものと考えられる。調査はできていないが、レストランからもUber eatsはサービス手数料を受け取っているのではないか。この点は今度調査を行う。