私的マーケットプレイス研究所

マーケットプレイスビジネスについて学んだことを書き留める。

労働力のシェアエコ・Taimee(タイミー)、クライアント(仕事)集めが成功の鍵か

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労働力のシェアエコ・Taimee(タイミー)とは

資金調達のニュースで話題になった、クライアントとワーカーを結びつけるマーケットプレイス・Taimee(タイミー)。

一番推しているメッセージは「すぐ働けて!すぐお金がもらえる!」ということで、スポットで労働力が欲しいクライアントと、スポットでお金が欲しいワーカーをマッチングするようなサービスになっている。

利用規約をざっと眺めて見ると、

  • 雇用形態は業務委託契約
  • 18歳未満は会員登録できない
  • 報酬の直接渡し/受け取りは厳禁

あたりがポイントでは無かろうか。

まず労働なので何かしらの契約は必要で、それは業務委託契約にて成されているみたい。また、「若い人が取り組みそうだな」と思ったけど、18歳未満は会員登録ができないので、実質的には大学生以上向けのサービスであるということか。あと、報酬の直接渡し/受け取りは厳禁で、ビジネスモデル上、クライアントとワーカーの直接取引は避けたい所。

https://taimee.co.jp/

※恐らく立ち上げ初期なので、まだtitleタグとか挿入されていない。こういった場合、検索エンジンのSerpsではGoogleが良い感じにtitleタグを書き換えて表示させる。Googleすごい。

 

タイミー(Taimee)のマネタイズは手数料

マーケットプレイスらしく手数料課金で、手数料はクライアントから。具体的には、ワーカーへの日給の30%を手数料として事務局に払う。なので、例えば、日給10,000円であれば、3,000円が手数料なので、合計13,000円がクライアントの払いとなる。

一方で、初期費用・アプローチ費用・月額固定費無料・解約手数料などは一切無いみたい。ちなみに、「アプローチ費用」というのはクライアントからワーカーへのスカウト的な感じだろうか。

 

クライアント集めが成功の鍵 

立ち上げ期のマーケットプレイスでぶつかることとしては、

  • 鶏が先か卵が先か
  • どのようにニッチに始めて行くのか 

 がメインどころだと思う。

 

鶏が先か卵が先か

今回で言うと、クライアント(仕事)があるからワーカーが集まるのか、ワーカーがいるから、クライアント(仕事)が集まるのかで、「クライアント(仕事)集め」から先に着手をすべきでは無いかと思う。

クライアント(仕事)が無い(少ない)マーケットプレイスにワーカーを集めることはできないけど、ワーカーのいない(少ない)マーケットプレイスにクライアント(仕事)を集めることはまだ可能だし、クライアントも掲載課金ではなく、手数料課金なので、仕事を出すだけなら損をしない。

また、サービスサイトを眺めてて気付いたのは、クライアントとワーカーで画面が違うということ。

  • ワーカー:仕事探しに特化した体験ができる
  • クライアント:「仕事作成」はもちろん「人手探し」もできるような体験

したがって、決してSaasのソフトウェアでは無いけど、所謂シングルプレイヤーモード的な発想で、クライアントに対する価値提供を行なっているのでは無いか。

ここで提供している価値は「人手探し」もっと言うと「スポットで、すぐに働くことができる人を探せること」であり、この価値は確かに提供できている企業は少なそうなイメージ。

勝手な深読みをしているだけかもしれないが、

  • クライアント(仕事)から集めることを意思決定
  • モデルとして掲載課金ではなく、手数料課金として、仕事を作成しやすくする
  • 「人探し」の価値があるサービスの無償提供で、アプローチ費用も無料とする

というモデルにしているのでは無いかと感じた。

 

どのようにニッチに始めていくのか

Facebookであればハーバード大学の学生間から、YouTubeであれば音楽専門サイトから、と世界中の大きなサービスも最初はニッチから入っている。今回のTaimee(タイミー)が対する人材領域はその市場規模こそ大きいけれど、圧倒的なレッドオーシャン

その中で「どのようにニッチにしているか」というのは推し量ることしかできないが、恐らく「リアルで、スポットに、人が欲しい仕事」という、サービスサイト内の言葉を借りると、「単発業務」領域であると思われる。

実際にワーカー側でアプリを覗いて見ると、データ入力やビラ・チラシ配り、意外にもユーザーインタビュー系の仕事が並んでいた。

リアルな「単発業務」領域を皮切りに今後どのような展開を見せて行くのかは非常に楽しみ。特に、エンジニアリングやデザインは単発業務が難しい領域であるので、どういった展開をさせるのか・それともしないのか注視したい。

 

ネットワーク効果とバイラリティ

こういった労働力のシェアエコで起こりそうなネットワーク効果としては、「単発業務をやるなら」といったものか。クライアント(仕事)が増えれば増えるほど、ワーカーは選べる仕事が多くなるし、ワーカーが増えれば増えるほどクライアント(仕事)がワーカーへアプローチ、募集の集客効率がよくなりマーケットプレイスとしての価値が高まる。

また、バイラリティといった観点でもワーカー側はきっと大学生が多くなってくるので、友達紹介キャンペーンのような口コミ施策は設計次第で効きが良さそうに思える。

 

レーティング(レビュー)をどうするか

上記のネットワーク効果やバイラリティの話は、「満足」という体験が大前提となっている。ここでいう満足とは

  • クライアント:スポットでワーカーがあつまり、期待値以上の働きぶりをしてくれた
  • ワーカー:スポットで仕事が見つかり、お金をすぐに得ることができた

という体験だろう。

こういった体験を双方が培う上でポイントになってくるのがレーティング(レビュー)である。この点に関しては、利用規約内に以下のように明記されており、原則必須であるみたい。

クライアントは、本サービスを通じた業務委託契約においてワーカーが業務を遂行すべき日(以下「業務予定日」といいます)の後1週間以内に、レビューを行うものとします。

 

出典:利用規約 第3章 クライアントの権利義務 第11条 (ワーカーとの関係およびレビュー) 第2項

 

現在、仕事を眺めて見ると「定員」になってしまった仕事がたくさんで、状況的には需要過多。したがって、やはりいかにクライアント(仕事)を増やして行くかがポイントになってきそう。応援しています。