私的マーケットプレイス研究所

マーケットプレイスビジネスについて学んだことを書き留める。

訪日外国人とガイドのマーケットプレイス・Huberの「Tomodachi Guide」、ユニークな取引工程で独自の世界観を目指している

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訪日外国人とガイドのマーケットプレイス・Huber

Huberが提供するTomodachi Guideは、

  • 訪日外国人(以下、ゲスト)
  • 国際交流したい人(以下、ガイド)

を「ガイド」というテーマで結びつけるマーケットプレイス。プロダクト名に「Tomodachi」という言葉が入っている通り、体験的にも「外国人とガイドが仲良くなれる」ような仕掛けがされており、非常にユニーク。早速、取引工程から分解をしてみたいと思う。

 

ゲストが旅診断を完了させる

ゲストはTomodachi Guideを利用する際には、旅診断と呼ばれる10問程度の質問に回答。この旅診断を元に、ガイドがドラフトプランと呼ばれる旅のプランを提案してくれる。

 

ガイドが旅診断を元にドラフトプランを提案する

ドラフトプランは旅のプランであり、ゲストの旅診断を元にして、ガイドからゲストに提案がされる。

 

ゲストがドラフトプランを元にガイドを選ぶ

ゲストはドラフトプランの中から良いと思ったものを選択し、詳細に関するやりとりを通じて、最終的にどのガイドにするかを決める。

 

ゲストとガイドが旅行を楽しむ

ゲストとガイドが待ち合わせ場所で合流し、自己紹介や簡単な打ち合わせを行なった後に、プランに基づいて、旅行を楽しむ。

 

取引工程におけるユニークなポイント

取引工程を見ていくと、マーケットプレイスの性質的に、

  • 対面でのサービス提供を行う
  • しかもサービス提供は異文化コミュニケーションになる

ため、ゲスト・ガイドともに取引コストがめちゃくちゃ高い。しかし、

「友だちをもてなすように」案内する

出典:What is Huber? - Tomodachi Guide - Planning a trip in Japan with local guide - Tomodachi Guide

という文言が明記されていることからも、「本当に良い体験を提供しよう」というプロダクトとしての信念や哲学を感じる。そんな信念や哲学を感じたポイントは以下。効率化だけを考えたら絶対にやらない方法だなと感じた。

 

旅診断を通じた綿密なプランニング

ただ「取引コストを下げる」というだけであれば、

  • ホストは、行き先を旅診断に書くだけで良い
  • ガイドは、行き先に合わせたテンプレのドラプトプランを出せば良い

と思うのだが、そうではなく、完全オーダーメイドで旅のプランを考えている。プロダクトのコンセプトに沿って充実に「友達のようにもてなす」のであれば、確かにゲスト1人1人に合わせた個別最適な旅のプランが良い。

 

ガイドは1人ではなく、2人のペアガイド制度

有償で行うガイドは、通訳案内士法では資格保有者のみに限定されていたが、2018年1月に法改正がなされ、資格保有者でなくてもガイドをすることができるようになった。

しかし、現在でもペアガイド制度は継続されており、ガイドはメインガイドとサポートガイドの2人で行うことになっている。

コストだけを考えれば2人よりも1人の方が運営側としては安く済ませることができるが、「ガイドも友達のように仲良くなるため」とのことで、まさに信念・哲学が反映されている仕組みになっていると思う。

 

料金設計とマネタイズ方法

気になるお金周りを調べてみる。話としては料金設計とマネタイズ方法に分かれるので、分ける。

 

ゲストとガイドの料金設計

  • ゲストは、ガイドに7,500円/3時間の支払いを行う
  • 7,500円/3時間の内訳としては、メインガイド:4,500円/3時間+サポートガイド:3,000円/3時間
  • メインガイド:4,500円/3時間の内訳としては、交通費:1,500円+ガイド費:3,000円(時給1,000円×3時間)
  • サポートガイド:3,000円/3時間の内訳としては、交通費:1,500円+ガイド費:1,500円(時給500円×3時間)

参考:What is the guide fee? - Tomodachi Guide - Planning a trip in Japan with local guide - Tomodachi Guide

 

「 意外とガイドはもらえないんだな」というのが率直な感想ではあるが、そもそものモチベーションとしては「国際交流がしたい!」と思っている人たちなので、「むしろお金がもらえるなんて!」と感じていることや、主に大学生がガイドをしているということからも、時給換算したら「意外と普通かも」と思い直した。逆に言えば、ゲストからしたら「安い!」と思うし、ただでさえ旅の資金を節約できるのは非常に良いと思った。

 

Huberのマネタイズ方法

  • ゲストには、ガイド料金の15%をサービス手数料とする
  • ガイドには、メインガイド・サポートガイドからそれぞれ1,500円、合計3,000円をサービス手数料とする

参考:What is the service commission? - Tomodachi Guide - Planning a trip in Japan with local guide - Tomodachi Guide

 

したがって、ある旅が3時間きっかりで行われたとしたら、

  • ゲストは、ガイドに7,500円、Huberに1,125円、合計で8,625円を支払う
  • メインガイドは、Huberに1,500円を支払うため、交通費除くと1,500円の儲け(時給換算:500円)
  • サポートガイドは、Huberに1,500円を支払うため、交通費除くと0円の儲け(時給換算:0円)
  • 1つの旅(成約)により、Huberの収益は4,125円となる

やはり、お金稼ぎがモチベーションではなく「国際交流がしたい!」というモチベーションがある人だけが取り組んでいるのだなと感じた。

また、ある種この時給換算がフィルタリングの機能を果たしていて、「この時給でも取り組む人=お金ではなく、国際交流をしたい人」であるため、「本当にやりたい人」が集まるのではないかと感じた。

また、ホームページで「Trip Outline」という数値が22,673件(2018年8月28日時点)であると公開されており、全ての旅が3時間であるとしたら、

  • GMV:170,047,500円(7,500円×22,673件)
  • ゲストからのサービス手数料:25,507,125円(170,047,500円×15%)
  • ガイドからのサービス手数料:68,019,000円(22,673件×3,000円)
  • 合計サービス手数料:93,526,125円(25,507,125円+68,019,000円)

と、約9,350万円の収益をHuberが上げているのではないかと推測できる。

 

別府支店で、別府温泉とAPU大学の資源活用

最後に面白いと感じたのは、本社は鎌倉にあるそうだが、支社として大分県別府市に支店があること。

別府と言えば真っ先に「別府温泉!」というくらい強力な観光資源を有しており、訪日外国人が集まる可能性が高い。

また、ガイド側に関しても別府にはAPU大学が位置しており、「英語の話せて、国際交流をしたい」可能性が高い人が集まっている。

恐らく、この観光資源と大学資源を組み合わせることを狙っているのではないかと思い、非常に上手さを感じた。

 

実際に使用をしていないので、推測となる部分があったが、2020年の東京五輪に向けてますます盛り上がるインバウンド分野なので、今後の成長が気になるところ。

また、ゲストは訪日外国人であるため、どのように獲得をしてきているのかも非常に気になる。旅行業界であるとCPAが高そうなので、リスティングよりもオーガニックやリファラル重視の施策になるだろうか。

全体的にプロダクトに対して信念・哲学を感じ、素敵だと感じた。